育児休暇中に参加したパン教室がきっかけでした。
大阪でシステムエンジニアの仕事していた頃、娘が生まれました。
育児休暇中に、友人からベビーマッサージ教室のお誘いをがあって参加してみることに。なかなかダンスに馴染めない私に先生が「パン教室もやってるからそっちに来てみない?」と誘ってくれました。もともと物づくりが好きで、ホームベーカリーでパンを作ったこともあったので、興味がありパン教室に参加することに。思った以上に楽しくて、どんどんのめり込んで行きました。
育児休暇が明けて、システムエンジニアの仕事に戻ることもできましたが、子どもを育てながらの仕事は結構ハードで「やーめた!」システムエンジニアの仕事を手放しました。
いつか私もパン教室を開きたかったので、まずは自分が知識をしっかりつけるために、パン屋さんでどうしても働きたくて、自分で作ったパンの写真を持って、パン屋さんの面接を突撃で受けまくり、数店舗で勤務し、製パン技術を身につけました。
念願のパン教室を開業!
朝一番、7時の開園と同時に2人の子どもを保育園に預けて、夕方までパン屋さんで働く日々が、娘が小学校に上がるまで続きました。
娘が小学校に上がり、そのタイミングで修行先のパン屋さんを一旦卒業し、念願の自宅パン教室を開業することにしました。
当時流行りだったmixiを使って、ママさん向けのパン教室コミュニティを作り、活動をスタートしました。
私らしいパン作りに挑戦。
パン教室はやりがいもあり、ママさんにも喜んでいただいていたので満足していましたが、教室で教えているパンの作り方は、アレルギーのある自分の子どもは食べられないパン(この時は、卵、乳、動物性を使っていました)。
「それって自分らしいのかな?」という疑問から、オリジナルのパンを作りたいと思うようになりました。
そこで、牛乳をお水や豆乳に変えたり、動物性を使わないようパン作りを初めて、徐々にそういうパンを求めているママさんが教室にきてくれるようになりました。
そうこうしているうちに、家の一室をパン工房として使ってもいいという話になり、厨房を整備することに。ある程度量を作れるようになった頃、教室の生徒さんのご主人を通して、ナチュラル系の商品や野菜を販売しているお店でパンを取り扱ってくれることになりました。自宅でパン教室を続けながら、そのお店では8年に渡ってパンの販売を続けさせていただきました。
そのお店でのパン販売を終了後、安曇野に移住する直前の2年間、京都の京田辺市の農家さんが共同経営する野菜直売所で、仕入れた京野菜を使ったパンを販売していました。
今、安曇野産野菜を使ってパンを作っていますが、その時の経験やアイデアが生かされています。
息子が卵、乳製品のアレルギーと、慢性的なアトピーを持っていました。
話は少し遡り、息子の話をさせていただきます。
娘が生まれてから3年後に生まれた息子は、特定の食べ物を食べるとアレルギー症状がでてしまうということが分かりました。息子の場合は卵、乳製品でした。娘は今までアレルギーが出たことがなく、食材を気にしてご飯を作ることはなかったのですが、息子のアレルギーがわかってからは、食品の原材料をすごく気にするようになりました。
卵、乳製品を使ってパンづくりをしている私にとって衝撃は大きく、せっかく手作りパンが目の前にあるのに息子は食べられないということが悲しかったです。卵、乳製品を使わないパン作りに熱中したのは、息子にもみんなと同じようにパンを食べて欲しいという思いが強かったからだと思います。
ある日、息子が旦那さんの友達と行ったBBQから帰ってくると、痒そうにしているので何を食べたか聞いたら飴でした。「飴ちゃんもだめか〜!」私はその時、慢性的なアトピーを持っている子には白砂糖が刺激になってしまうと知りました。そうなってくると、息子が食べられる市販のお菓子やパンはかなり限られてきます。健康に気を使ったパンやお菓子は、どうしても味気がなく見た目もさっぱりしていて、しかも高い!という印象がありました。それなら私が市販で売ってるパンやお菓子となんら変わりない見た目で味も遜色ない美味しいパンを作ろうと決意しました。
完全に整えられた空間で、
私だから作れるパンを作りたい。
大阪でのパンの仕事が10年を迎えた頃、家の一室ではなく、自分のお店を持ち、そこでパン作りに挑戦したいという夢ができました。もちろん大阪でも良かったのですが、若い頃からスノーボードをしに遊びに行った信州の景色が思い出されて、空気も水も美味しい安曇野の地でパン作りをしたいと直感的に思いました。
思い立ったらすぐ行動!幸い、県外から安曇野に移住したい人たちをサポートしてくれる方に恵まれ、着々と準備は進み、2019年5月1日に安曇野市穂高でお店をオープンすることができました。
使っているお水は北アルプスから湧き出る安曇野の地下水(濾過したもの)を使い、小麦粉は長野県産100%にこだわっています。信州で育ったお野菜や果物を使って、素材の味を損なわず楽しめるように丁寧に作っています。
工房には動物性の食べ物や飲み物が一切入り込まないように、徹底した管理を行っているので、少しの量でも症状が出てしまう方にも安心して食べていただきたいです。また、パンを焼くときなどにシリコン型などを避けているので、そういった心配がある方にも安心していただきたいです。
くうパンを心待ちにしてくださる皆様に、美味しいパンをお届けできるように、これからもこだわりのパンを焼き続けていきたいです。